石橋湛山評論集
石橋湛山評論集~維新後婦人に対する観念の変遷
大正元年10月号『東洋時論』「社論」
吾輩は明治思想史の上から、明治維新後の我が国民の婦人に対する観念は、 おおよそ三遷して、以て今日に至れるを看るのであるが、更に今日はこの四遷すべき時期に遭遇しておるものであると思うものである。
・・・中略・・・
かくの如く我が社会は堅実にして実用的なる婦人を得んと欲して、かえって意外なる奇形の婦人を作りつつある。これ今において我が社会の深く考えななければならぬ処である。而して吾輩はこの救済策として、我が社会の速やかにその良妻賢母主義の教育を廃し、而して彼ら婦人をば1日も早く社会上経済上の彼らの地位を自覚し、これに処するの途を講じ得るが如き者にする手段を採らんことを希望する者である。