石橋湛山評論集

石橋湛山評論集~市町村に地租営業税を移譲すべし

大正14年6月6日・20日・7月4日号「社説」

しかるに従来の我が地方自治制の有様を見るに、この最も肝要な市町村に対しては、自治を許せる名のみにて、その実はほとんどこれを与えておらぬ。その実際は税制において最も明らかだ。府県営業税、同雑種税、同家屋税(従来は戸数)を賦課する権を与え、全国道府県の予算を見ても、その租税収入の半額以上は、これによっている次第である。が市町村に至っては、市制および町村制で特別税の賦課を許さるるといえども、事実において、あらゆる税源が国税および府県税によって漁られておるから、ほとんどこの賦課をなすの余裕を見出し得ない。即ち町村租税収入の9割8分までは国税および府県税付加税で、市においては近年やや特別税が増加したともいえども、なおその租税収入の8割余は国税および府県税付加税である。(第51議会を通過した地方税の改革によって、今後は多少変わるであろうが、その程度は知れたものである。)かくの如くなれば今日の市町村は、何らかの仕事をせんとしても、財源のなきは勿論、政治上に最も肝要なる租税の増減について、ほとんどいささかの自主権もないというて宜い。仕事せんと欲すれば国か府県かに泣きつくほかなく、住民の負担の公平を図らんとしても、国および府県がこの企図を打ち壊す。我が地方自治制の発達せざる所以である。即ちここにおいて地租営業税地方移譲の主張が起こる。

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