石橋湛山評論集

石橋湛山評論集~敢えて婆心を披瀝し新内閣に望む

昭和19年8月5日号「社論」
言葉を飾るな率直に語れ

まず記者が新内閣に勧告したい一言は、物を率直に語れ、言葉を飾るなということである。前内閣苦情の一は、政府が事実の真相を知らしめないということであった。これは確かにもっともの苦情であった。けれどもそれでは政府は果たして事実をさように隠していたかというに、そうではない。あった事は、相当詳しく発表しているのである。ただその発表が常に率直でなく、しばしば言葉に無用な粉飾を行った。例えば誰が見ても兼職に相違なき重要の事実を、特にその辞を避けて、変てこな説明をなせる如きである。かかる粉飾は、国民に隔靴掻痒の感を与え、果てはこれで好都合を感ずるとも、長く信用を保ち得るはずがない。失敗は失敗、間違いは間違いと率直に語れしからば今日の危局に当たり国民の誰か、是を許し、政府を支持しないものがあり得よう。

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